三思一言たてもの探訪Ⅱ(山城21) 2021年10月27日

平等院鳳凰堂

 訪問:2021年9月と10月

◆れきし

 摂政藤原道長の別荘を、永承7年(1052)にその子頼通が寺院として創建。当初は金堂・講堂・釣殿・法華堂・多宝塔などの堂舎がありましたが、承久の乱や建武の乱等、度重なる兵乱で失われました。しかし鳳凰堂とよばれる阿弥陀堂だけは一度も火災に遭うことがなく、創建当初の阿弥陀坐像や天蓋、雲中供養菩薩や扉画などが奇跡的に現存しています。

 1990年代以降の発掘調査で平安時代の洲浜が検出され、2012年からの修理で屋根の葺き替えや、柱・壁の塗り直しが行われて面目を一新。訪れた時は中堂内部が修理中で、扉が閉まった状態の写真です。

◆見どころ

 丈六の阿弥陀如来坐像を安置する中堂、左右の翼廊、背後にとり付く尾廊からなり、極楽浄土の宮殿を表した現存無二の建物です。優美で軽快な姿が阿字池に映り、平安時代中期に流行した浄土式庭園の真髄を体感することができます。鎌倉時代の観音堂と桃山時代(伝伏見城から移転)の浄土院書院は、外観が少し見えるだけですが、歴史ある建造物として見逃せません。



観音堂

浄土院

鐘楼(梵鐘は複製。本物は鳳翔館で展示)